イントロダクション

いじめによる死亡事件に着想を得た物語

 その衝撃的なタイトルと内容により物議を醸した監督作『先生を流産させる会』(11)で長編デビューを果たした内藤瑛亮が、再び自主映画のフィールドで世に放つ待望の新作。

 近年は『ライチ☆光クラブ』(15)や『ミスミソウ』(17)といった原作物の商業映画でメガホンを取ってきた内藤監督が「“撮りたいから撮る”という映画作りの原点に立ち返った」と語る本作は実際に起きた複数の少年事件に着想を得て、いじめによる死亡事件を起こした加害少年とその家族、そして被害者家族の姿を描いたオリジナル作品である。

 本作を制作するにあたり、撮影前には小学生から高校生までの16人の子どもたちを対象としたワークショップが開催された。そこでは、少年犯罪を扱った映像作品をテキストにした演技レッスンや、実際の少年事件に関する資料の朗読、ゲスト講師による少年法の解説など、映画制作という枠を超えた“教育的”アプローチが取られ、撮影前から参加者に問題意識を育ませる手助けになった。

 こうしたワークショップを経て開始された撮影は、監督のこだわりから、2017年の夏、年をまたいで翌年の冬、そして春に断続的に行われた。季節による風景の変化や役者の成長を取り込み、作品に豊かな広がりを加えていった。

 『先生を流産させる会』と同時期から長年温め続け、ようやく実現にこぎつけた内藤監督渾身の一作は、我々に様々な問いを投げかける。果たして子どもを殺した子どもは罪とどう向き合うのか。周りの大人たちはそんな子どもをどう受け止めていくのか。いじめや少年事件という社会問題を通じて、現代に蔓延する生きづらさを鋭く切り取った本作は、観る者の価値観や倫理観を激しく揺さぶるに違いない。

 今、内藤監督による“教育映画”2時間目が開始を告げる。

ストーリー

少年たちは同級生を殺した。だが、裁かれなかった。

とある地方都市。中学一年生で不良少年グループのリーダー市川絆星(いちかわ・きら)は、同級生の倉持樹(くらもち・いつき)を日常的にいじめていた。いじめはエスカレートしていき、絆星は樹を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親の真理(まり)の説得によって否認に転じ、そして少年審判は無罪に相当する「不処分」を決定する。絆星は自由を得るが、決定に対し世間から激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は民事訴訟により、絆星ら不良少年グループの罪を問うことを決意する。

果たして、罪を犯したにも関わらず許されてしまった子どもはその罪をどう受け止め、生きていくのか。大人は罪を許された子どもと、どう向き合うのか。

信じることが愛なのか、守ることが罪なのか。倫理観が試される―。

キャスト

  • 市川絆星 役
    上村 侑(うえむら・ゆう)

    2002年 鹿児島県出身

    <活動歴>

    『サファイア』橋本根大監督
    『GALLERY X 伊藤万理華の脳内博覧会 ショートフィルム』柳沢翔監督
    「仮面同窓会」(THK)
    GANG PARADE「ブランニューパレード」MV
    日本コカ・コーラ「サマーTVCM 熱さのリレー篇」
    大塚製薬「カロリーメイト 小さな栄養士 チョコレート篇」

  • 市川真理 役
    黒岩よし(くろいわ・よし)

    1974年 大阪府出身

    <活動歴>

    元プロスイマー(1988ソウル五輪代表)
    『ウルヴァリン SAMURAI』ジェームズ・マンゴールド監督(ヒロインスタントダブル)
    『THE TEMPLE』マイケル・バレット監督
    『進撃の巨人』樋口真嗣監督
    「鈴木光司リアルホラー 杭打ち」(BSフジ)
    「BG 身辺警護人」(EX)
    「シャーロック」(CX)

  • 櫻井桃子 役
    名倉雪乃(なぐら・ゆきの)

    2001年 静岡県出身

    <活動歴>

    バイトと両立しながら静岡県内の高校に通学中

  • 倉持 樹 役
    阿部匠晟(あべ・たくや)

    生年・出身非公表

    <活動歴>

    都立高校に通学中。

  • 宮代莉子 役
    池田朱那(いけだ・あかな)

    2001年 群馬県出身

    <活動歴>

    「いだてん」(NHK)
    「歌のおじさん Eたん」(Eテレ)
    「悪党」( WOWOW)監督:瀬々敬久
    『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』 監督:河合勇人
    『まだ見ぬ あなたに』主演  監督:小澤雅人

  • 小嶋匠音 役
    大嶋康太(おおしま・こうた)

    2002年 東京都出身

    <活動歴>

    『闇金ウシジマくんpart4』山口雅俊監督
    「軍師官兵衛」(NHK)
    「まれ」(NHK)

  • 高橋蒼空 役
    清水 凌(しみず・りょう)

    2001年 神奈川県出身

    <活動歴>

    県立高校に通い、合唱部に励む。

  • 井上緑夢 役
    住川龍珠(すみかわ・りゅうじゅ)

    2003年 東京都出身

    <活動歴>

    『下忍 ~青い影~』山口義高監督
    『爆裂魔神少女 バーストマシンガール』小林勇貴監督
    日本マクドナルド「パイセン編」

  • 佐々木円 役
    津田 茜(つだ・あかね)

    2001年 神奈川県出身

    <活動歴>

    毎週演技のレッスンに通っています。

  • 村田 鈴 役
    西川ゆず(にしかわ・ゆず)

    2003年 埼玉県出身

    <活動歴>

    『トイレの花子さん新章花子vsヨースケ』鳥居康剛監督
    舞台「ホス探へようこそ The Last Valentine」
    舞台「実は私は」

  • 倉持 茜 役
    野呈安見(のてい・あみ)

    生年・出身非公表

    <活動歴>

    芸能活動はしていません。高校に通学中。人力飛行機部に励む。

  • 蓮見春人 役
    春名柊夜(はるな・しゅうや)

    2002年 神奈川県出身

    <活動歴>

    2007年頃より有限会社スマイルモンキーにて、子役として活動。
    CM、ドラマ、映画や舞台などを経験。
    高校では文芸部に入り、部員として初の小説「名は過去を運ぶ」で、神奈川県優勝を果たす。

  • キャロル 役
    日野友和(ひの・ともかず)

    2002年 東京都出身

    <活動歴>

    非公表

  • 丸山寧々 役
    美輪ひまり(みわ・ひまり)

    2005年 東京都出身

    <活動歴>

    静岡新聞CM
    その他、舞台を中心に多数出演

  • 松本香弥憂 役
    茂木拓也(もぎ・たくや)

    2003年 埼玉県出身

    <活動歴>

    舞台「ママと僕たち」
    日本政策金融公庫グラフィック広告

  • 三浦 凛 役
    矢口凜華(やぐち・りんか)

    2003年 茨城県出身

    <活動歴>

    『波濤』万田邦敏監督
    『狼の詩』東本三郎監督
    『欲望の怪物』松本卓也監督

  • 藤野 結 役
    山崎汐南(やまざき・せな)

    2002年 神奈川県出身

    <活動歴>

    シンガーソングライターSENAとして活動。
    Sony music the LESSON6期生。
    9歳から独学で作詞作曲を始めピアノで弾き語りをして、オリジナルは90曲以上。

  • 倉持武彦 役
    地曵 豪(じびき・ごう)

    1976年 東京都出身

    <活動歴>

    『実録・連合赤軍 浅間山荘への道程』若松孝二監督
    『リップヴァンウィンクルの花嫁』岩井俊二監督
    『The Outsider』Martin Zandvliet監督

  • 倉持絵梨夏 役
    門田麻衣子(かどた・まいこ)

    1979年 茨城県出身

    <活動歴>

    劇団⭐︎新感線「阿修羅城の瞳」
    演劇集団Z団、全公演
    ネオロマンスステージ「遙かなる時空の中で」全公演

  • 市川祐司 役
    三原哲郎(みはら・てつろう)

    1979年 埼玉県出身

    <活動歴>

    『ケンとカズ』小路紘史監督
    『ゼンラレジスタンス』西川達郎監督(岡村島映画祭助演男優賞受賞)
    『終末の獣たち』佐々木優大監督

  • 四宮美紀 役
    相馬絵美(そうま・えみ)

    <活動歴>

    『電車を止めるな!』赤井宏次監督
    「99.9~刑事専門弁護士~」(TBS)
    King Gnu 「飛行艇」MV

スタッフ

  • 監督
    内藤瑛亮(ないとう・えいすけ)

    1982年生まれ。愛知県出身。映画美学校フィクションコース11期修了。
    特別支援学校(旧養護学校)に教員として勤務しながら、自主映画を制作する。短篇『牛乳王子』が学生残酷映画祭・スラムダンス映画祭はじめ国内外の映画祭に招待される。初長編『先生を流産させる会』がカナザワ映画祭で話題となり、2012年に全国劇場公開され、論争を巻き起こす。教員を退職後は、夏帆主演『パズル』や野村周平主演『ライチ☆光クラブ』、山田杏奈主演『ミスミソウ』など罪を犯した少年少女をテーマにした作品を多く手掛ける。2020年、約8年振りとなる自主映画『許された子どもたち』を制作。

    【主な作品】

    映画:『ミスミソウ』『鬼談百景』『ドロメ』『ライチ☆光クラブ』『高速ばぁば』『先生を流産させる会』『牛乳王子』
    ドラマ:「名もなき復讐者ZEGEN」「仮面同窓会」「不能犯」「悪霊病棟」
    MV:リーガルリリー「ぶらんこ」「うつくしいひと」、超特急「Beautiful Chaser」

    監督コメント

     最初にプロットを書いたのは、2011年の夏でした。自分が小学校高学年の頃に起きた山形マット死事件に着想を得た企画です。
    商業映画として成立させるため交渉を続けましたが、進展は得られませんでした。
    2015年に川崎市中一男子生徒殺害事件が起き、制作への思いが高まりました。
    2016年に自主映画として制作することを決意し、2017年の夏、年末年始、2018年の春にかけて撮影を敢行しました。1年に及ぶポストプロダクションを経て、2019年夏に完成しました。
    遠回りしましたが、時間をかけたからこその濃密さが作品に詰まっています。
    2020年5月、ついに観客の皆さまへ届けることが出来ることを嬉しく思っています。

予告篇

劇場情報

エリア
劇場
上映
特別鑑賞券

※窓口での特別鑑賞券販売がある劇場での取扱いは公開初日の前日までとなります。

コメント

内藤朝雄(社会学者、明治大学文学部准教授

「パリの敷石の下は土だ」という言葉がある。この作品は、人間の命は尊いという現実感覚を、パリの敷石をひっぺがすようにして、いったん、はぎとる。そして人間であるというだけでは虫けらと変わらないという「敷石の下の土」を露出させる。いじめられ体験から跳ね返ってタフになったこの私(加害少年)とか、乳児から育てた我が子に比べれば他人の子は虫けら同然(加害少年の母)、といった生々しい「土」である。観る者は、この「土」から人間の尊厳に立ち返る道を奥底から求めずにおれなくなる。

私がこの作品いいなあと思ったのは、なにがよいか、なにがよくないかをいっさい出さず、見る人の深部がざわざわと動いてしまうように作ってあるという点です。数百年にわたって、深部がざわざわ動いた人たちが、ひとりひとり固有の生に即した言葉を紡がざるをえなくなったり、潜在的な気づきの時限爆弾がうめこまれたりしていくのが、読み継がれる古典の条件とすれば、世代を超えて残るべき映画になったかもしれません。 わたしもそのような古典にふさわしい、100年後にも通用するコメントを書かねばと思いました。

阿部恭子(NPO法人WorldOpenHeart理事長)

もし、子どもが人を殺したら―。その事実をすぐに受け入れられる人などいない。本作品では、愛と正義が問われている。親子関係では「愛」として正当化される支配。社会では、「正義」として正当化される加害者やその家族に対する嫌がらせ。社会的制裁は刑罰より残酷で終わりがない。多くの人は真実から目を背け、無責任に少年を追いつめる。少年はどこへ向かうのか。罪から逃げ切れるのか。

岩井澤健治(『音楽』監督)

SNS時代の問題点が見事に集約されている素晴らしい作品でした。
今や誰もが被害者、加害者になる世の中で、恐ろしいのが正義感から加害者になっていることすら気づかない人が多いこと。
『許された子どもたち』は人間の醜い部分をえぐり出す、攻めた演出が見事でした!

唯野未歩子(女優、脚本家、映画監督、小説家)

 これは『モンスター』の映画だ。主人公の少年、その両親、友人、先生、学校、法、マスコミ、ユーチューバー、匿名の人々で構成されたSNS社会。そんな彼ら彼女らはなぜ『モンスター』になってしまったのか? という描写はない。ただそういう存在としてそこにいる。そして恐ろしいことに、ここで描かれるすべての『モンスター』は、わたしたちの暮らしのごくそばにいる、誰もが知っているむしろ平凡な隣人である。一方、もっとも人間的であるはずの被害者と、痛ましい被害者の両親、心に傷を負った恋人は『人間』としては描かれておらず、物語にとって必要な役割をになう記号である。社会のひずみが生んだ『犠牲者』という記号だ。こちらも同じく、なぜ『犠牲者』になってしまったのか? ということには触れていかない。おそらくは意図的に。
 それともうひとつ、この映画に横溢しているのは『暴力』だ。暴力については、最初から最後までありとあらゆる方法で執拗なまでに繰り返されていくが、緻密な計算がなされていて、物語の発端「主人公が被害者にふるう暴力」では、人命は異様に軽く、まるで幼児が破壊するオモチャのように描かれている。たとえるならばサイコパスが犬猫を殺すような嗜虐性であり、ともすればホラーチックであるのと対極に、中盤以降の「主人公がふるわれる暴力」になると、その描写にはリアリティが追求されている。観ているこちらまで痛みをかんじるような渇いた不条理さで、主人公を打ちのめす。通底しているのは、常に暴力は、突発的であり、理由などないということ。わたしたちが生きている現実の世界にある暴力そのものだ。
 『モンスター』と『犠牲者』と『暴力』しかない世界。
 目を背けたくなるようなこんな世界を、監督は執念をもって描いていく。執念。いいかえれば「わからないことを、わかりたいと希求する思い」とでもいうべきか。
 しかし映画のなかに「わかった」という感触は、ない。でもまだ希望は、ある。微かな『人間』の兆しのようなもの。それは、主人公の友人・緑夢にあった。緑夢は、主人公にとっては「どうでもいいやつ」として描かれている。仲間ではあるが実行者ではない。傍観者でも、犠牲者でもなく、モンスターでもない。が、たったひとり彼だけが「自分は人間になりたい/モンスターになりたい/どちらにもなれない/暴力を否定し、肯定もする/正直者であるが、裏切り者でもある/被害者であり、加害者である/グレーゾーンにおかれた曖昧な存在=人間そのもの」であり、この事件の起因でもあった。さまざまな思いの揺らぎのなかでひっそりと生きる者。それこそが『人間』であり、すなわち本作の裏・主人公なのだろうと、わたしは思う。後半、緑夢はいう「僕にもっと勇気があれば、樹(被害者)は14歳になれたし、きっと友達になれた」と。その懺悔にも似た悲痛な言葉が発された瞬間、彼はやっとすこしだけ『人間』になれる。はじめの一歩のようにみえる。
 だからこの意欲作は、わたしが勝手に想像するに、きっと三部作になっていくのだ。今作の絆星は『モンスター』としてしか存在することができない少年の悲劇(と怒り)であり、次は10年後の緑夢の人生(人間であるということ、あり続けるということ)であって欲しい。20年後は恋人・桃子の物語(暴力によって奪われた人間性は、果たして取り戻せるのだろうか)と、そこまで問われたときに、はじめて完結される壮大な物語——監督からの大きな答えが明示されるのではないか。その序章に、わたしたちは、いま、たちあったのである。

足立紳(脚本家、映画監督)

映画を観ている気がしなかった。
近所に住んでいるよく知った家族の、見ることのなかった人生を見てしまったかのように、
口を開けばその家族に対してつまらない言葉しか出てこない気がして「ああ、、、」と言葉を失う。
少年も母親も父親も他の登場人物も、そして観客も、何かを自覚する間もなく、ひとつの人生のようにこの映画はころがっていき、待ってくれない。

押見修造(漫画家)

自分はかつて、みんな死んでしまえ、と社会を呪いたい気持ちを抱えた子供だったが、今は親になった。
この映画を観て、あの頃の自分に自分の子供を殺されたような気持ちになった。とても後ろめたくて謝りたくなった。
自分もまた、心に蓋をして、「こうしなければ生きてこれなかった」と言い訳をして生きてきた人間だから。
それでもこの映画は、どこか愛おしくて抱きしめたくなるような気持ちにもさせられる。

相田冬二(映画批評家)

息が詰まるような、いまこのとき。
理不尽で矛盾だらけの、いまこのとき。
それでも、どうにかして呼吸する術がある。
それでも、くたばらずに生きのびる方法が残されてる。
忘れるな。おれたちには、映画がある。この映画がある。

山下敦弘(映画監督)

"何故、人は人を殺してはいけないのか?”という議題を掲げ、道徳の授業でこの映画を観せたらいいのに。
グロテスクで暴力的で本音剥き出しの清々しい教育映画。

清水崇(映画監督)

冒頭~ラストまで“悔しさ”“憤り”“悲しみ”に振り回された。
終始、身体中に力が入ったまま…打ちひしがれ、疲労困憊した。
自分の小中高生時代にした事、された事、何も出来なかった事が次から次へと思い起こされ…
あの時のあいつやあの子の顔が脳裏を過って、いたたまれず息苦しくなった。
そして今、小中学生を持つ親として、夫婦として、
何と言っていいかわからない位いろいろな感情に掻き乱され、
現実での人との様々な向き合い方を突き付けられる思いに駆られた。
こういう映画がもっと商業ベースで作られなければいけない。
そして…国や自治体、学校や地域が、親子で観れるようにしなければいけない。
塾や習い事、点数を稼ぐ事なんかより、生きる為によっぽど大切な事。
鬱積した感情の吐き出しどころを知らない、 反省の仕方がわからない、
全ての子どもと大人へ……
コロナ禍で新たに燻り、膿んだ感情を抱えつつある僕らの化膿した世の中に、
内藤監督の集大成的な映画が、自粛・延期を乗り越えて問いかける!

北川れい子(映画評論家)

内藤瑛亮作品を観るとき、覚悟が必要になる。共犯者になる覚悟。
この新作では不快感を伴う共犯性が更に加速して、
罪に問われなかった加害者少年が被害者に思えたり。
監督の勇気と野心に脱帽だ!!

ふみふみこ(漫画家)

どういう目線で観れば良いのか。
観ている間、ずっとそれを考えていました。
殺人を犯してしまった主人公の立場にも、その両親、殺された子どもの家族、
罪を犯した人をおもしろがり責め立てる周囲の人間やネット上の名もなき人たちにも、
どんな人間にも感情移入し、別の立場から見て悲しみや怒りを感じたりします。
「良い」「悪い」というものはなくて、現象がそこにあるだけ。
それを判断するのは個人の価値観だと言えるのかもしれませんが、
そうした物言いに潜んでいる微かな狡さすら許さない、そういう映画です。
事実はただ、そのまま受け入れるしかありません。現実とは、いつもそういうものだと感じます。

たかはしほのか (リーガルリリー)

今、
きみの吸うタバコがぼくのようで
ぼくの吸うタバコがきみのようで
同じ時間にいつでもタイムスリップできるんだ
いつでも、心の場所であえますように。

『許された子どもたち』特別対談

映画『許された子どもたち』劇場公開を記念して、本作にご賛同してくださった4人の方と内藤監督が対談を行いました。ぜひご覧ください。

押見修造 × 内藤瑛亮

前篇

後篇

(押見修造プロフィール)

2002年、コミック焦燥にて「真夜中のパラノイアスター」でデビュー。
「惡の華」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「ハピネス」「血の轍」などの作品がある。

阿部恭子 × 内藤瑛亮

前篇

後篇

(阿部恭子プロフィール)

2009年3月に東北大大学院法学研究科博士課程前期修了(法学修士)。
大学院在学中の08年に、社会的差別と自殺の調査研究を目的とした任意団体「World Open Heart」(仙台市青葉区)を設立。11年に法人格を取得した。
現在同NPO法人理事長。15年には韓国で初めて加害者支援団体「児童福祉実践会セウム」が設立され、同団体と連携した活動がある。
少年院保護者会や刑務所、自立更生促進センターなどの矯正施設での講演が多数。
「息子が人を殺しました-加害者家族の真実-」「家族という呪い-加害者と暮らし続けるということ-」(いずれも幻冬舎新書)などの著書がある。

内藤朝雄 × 内藤瑛亮

前篇

後篇

(内藤朝雄プロフィール)

東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程を経て現職。
著書に「いじめの講造 なぜ人が怪物になるのか」「いじめの社会理論」「いじめと現代社会」「いじめ加害者を厳罰にせよ」
共著に「いじめの直し方」「学校が自由になる日」「「ニート」って言うな!」など。

相田冬二 × 内藤瑛亮

前篇

後篇

(相田冬二プロフィール)

ライターとして映画評や俳優、監督のインタビューを雑誌やweb、パンフレット用に執筆を行うだけでなく、ノベライザーとしても多数の著作があり、幅広く活躍中。

©「許された子どもたち」製作委員会